アメリカの米PPI。CPIの前後にあります。今回は、PPIについて解説していきます。PPIを理解してしっかり相場に向かいましょう。
PPIとは
PPI(Producer Price Index、生産者物価指数)は、企業(生産者)が販売する商品やサービスの価格変動を測定する経済指標です。アメリカではCPI(消費者物価指数)と並ぶ、重要なインフレ指標の一つです。PPIは米国労働統計局(BLS)が毎月中旬ごろ(CPIとほぼ同時期)に原材料、中間財、最終財などの企業間取引価格を調査して公表します。
CPIとの違いは、CPIは消費者向けの商品・サービスの価格を調査し、生活コストの変動を把握します。PPIは生産段階での価格(企業間取引)を調査し、供給側のインフレ圧力を把握します。
PPIの経済への影響
- PPI上昇 → 原材料コストが上がる → 企業が価格を転嫁すればCPIも上がる可能性
→ 将来のインフレの先行指標として使われる - 金融政策にも影響:FRBは、インフレが「生産段階から消費段階に波及しているか」をPPIとCPIの両方から判断します。
例:ある月のPPIが前年同月比で+5.0%
→ 生産者側のコストが大幅に上がっている
→ 企業が商品価格を引き上げれば、数か月後にCPIも上がる可能性
PPIで為替はどう動く
米国のPPI(生産者物価指数)の結果も、為替市場に大きな影響を与える指標です。PPIはCPIほど市場インパクトは強くありませんが、インフレの先行指標として重要視され、特にFRB(米連邦準備制度)の金融政策見通しに影響するため、為替(特にドル)に影響を与えます。
為替(特にドル円)におけるPPIの影響の基本パターン
PPIの結果 | 市場の解釈 | 金融政策の期待 | 為替への影響 |
---|---|---|---|
予想より強い(上振れ) | インフレ圧力が強い | 利下げ見送り or 利上げの可能性 | ドル買い・ドル高(円安) |
予想より弱い(下振れ) | インフレ鈍化の兆候 | 利下げの可能性高まる | ドル売り・ドル安(円高) |
例(仮のシナリオ)
- 予想:前月比 +0.3%
- 実績:+0.6%
- → インフレ圧力が強いと受け取られる
- → FRBの利下げ観測が後退
- → ドル上昇(円安方向)
- → ドル円が数十銭〜1円程度動くことも
補足:CPIとの違い
- CPI(消費者側)は直接的なインフレ指標で、市場影響が大きい
- PPI(企業側)は先行的な価格動向を示し、CPIの変化を予測する材料
- FRBは両方を見ながら判断するが、金融政策決定では「CPI・PCEの方が重視」される
まとめ
PPI(生産者物価指数)は、企業(生産者)が販売する商品やサービスの価格変動を測定する経済指標です。PPIは生産段階での価格(企業間取引)を調査し、供給側のインフレ圧力を把握します。
- PPIは「インフレの兆し」として市場に影響
- 上振れ → 利下げ遠のく → ドル高
- 下振れ → 利下げ近づく → ドル安
- 市場予想との乖離(サプライズ)が大きいほど、為替変動も大きくなる
以上今回はPPIについて説明しました。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。内容をしっかり理解して相場に向かいましょう。次回もよろしくお願いします。
記:しまてつ
トレードスタイル:ディトレーダー
取引通貨:ドル円、ユーロドル
CFD:銀スポット、天然ガス
*参考資料 ブルームバーグ(無料版)、外為ドットコム
*使用アプリ トレーディングビュー