重要な経済指標であるアメリカの米CPI。CPIとは何でしょうか。今回は、CPIについて解説していきます。CPIを理解してしっかり相場に向かいましょう。
CPIとは
CPI(Consumer Price Index、消費者物価指数)とは、消費者が購入する商品やサービスの価格の平均的な変動を測定する経済指標です。アメリカでは、労働統計局が毎月発表しています。
CPIの概要
- 目的:物価の変動、つまりインフレ(物価の上昇)やデフレ(物価の下落)を把握すること。
- 測定対象:食品、衣料、住居、交通、医療、娯楽、教育など、都市消費者が実際に購入する商品の価格。
- 基準年:ある年の価格水準を100として、それ以降の価格水準と比較します。
CPIの主な種類
- CPI-U:全都市部消費者向け指数(米国の大多数の人々を対象)
- Core CPI(コアCPI):CPIから食品とエネルギー(価格変動が激しい)を除いたもの。金融政策で重視されます。
CPIの使い道
- インフレ率の測定:前年同月比のCPI変化率がインフレ率。
- 金融政策判断:FRB(連邦準備制度理事会)が金利政策を決定する際の重要な指標。
- 社会保障などの調整:年金や最低賃金などがCPIに基づいて調整される場合もあります。
例:仮にCPIが前年同月に比べて3%上昇していたら、「インフレ率は3%」といえます。
最新のCPI(2025年3月分)
- 発表日:2025年4月10日(木)
- 前年同月比の上昇率:2.4%(予想:2.5%、前回:2.8%)
この結果は、インフレ圧力がやや緩和されていることを示しています。特に、食品やエネルギー価格の変動が影響している可能性があります。
今後のCPI発表スケジュール(2025年)
発表日(米国東部時間) | 対象月 | 日本時間(UTC+9) | |
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2025年5月13日(火)8:30 AM | 4月分 | 5月13日(火)21:30 | |
2025年6月11日(水)8:30 AM | 5月分 | 6月11日(水)21:30 | |
2025年7月15日(火)8:30 AM | 6月分 | 7月15日(火)21:30 | |
2025年8月12日(火)8:30 AM | 7月分 | 8月12日(火)21:30 |
※すべての発表は米国労働統計局(BLS)によって行われます。
CPIで為替はどう動く
CPIの結果は、為替相場(特にドル円など)に大きな影響を与えることがあります。CPIが市場予想と比べてどうだったかによって、ドルが買われる(上昇)か売られる(下落)かが決まります。
為替が動く基本的な仕組み
- CPIが市場予想より高い(=インフレが強い)
→ FRBが利上げ(または利下げを先延ばし)する可能性
→ ドル買い・ドル高になりやすい - CPIが市場予想より低い(=インフレが弱い)
→ FRBが利下げに動く可能性
→ ドル売り・ドル安になりやすい
実例(仮)
- 予想:前年比+3.2%
- 結果:前年比+3.8%(上振れ)
→ 市場は「インフレ圧力が想定より強い」と解釈
→ FRBは利下げを遅らせる可能性
→ ドルが買われ、ドル円は上昇(円安)
PPIと小売売上高もチェック
アメリカではCPIが発表されると数日内にPPIと小売売上高が発表されます。これらも相場をうごかすので確認しましょう。
PPI(Producer Price Index、生産者物価指数)は、企業(生産者)が販売する商品やサービスの価格変動を測定する経済指標です。アメリカではCPI(消費者物価指数)と並ぶ、重要なインフレ指標の一つです。
「小売売上高(Retail Sales)」とは、アメリカ国内の小売業者が販売した商品・サービスの総額を示す経済指標です。特に個人消費の動向を把握するために非常に重要なデータで、毎月、アメリカ商務省(Census Bureau)が発表しています。
まとめ
CPIの変動は、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策や金利決定に大きな影響を与えるため、投資家や経済アナリストが注視しています。簡単に言うと、「インフレ=金利上昇=ドル高」という図式があるため、CPIが強ければドルが上がりやすいという傾向があります。為替への影響をリアルタイムで知りたいときは、CPI発表後のドル円チャートなどを見るのが有効です。
- CPI以外にも雇用統計やFRBの発言、地政学リスクなどが複合的に影響します。
- 予想との差だけでなく、「市場の期待とのギャップ」が大きな要素。
- コアCPI(食品・エネルギー除く)も市場が特に注目しています。
以上今回はCPIについて説明しました。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。内容をしっかり理解して相場に向かいましょう。次回もよろしくお願いします。
記:しまてつ
トレードスタイル:ディトレーダー
取引通貨:ドル円、ユーロドル
CFD:銀スポット、天然ガス
*参考資料 ブルームバーグ(無料版)、外為ドットコム
*使用アプリ トレーディングビュー